じんたんのブログ

シカゴでの研究留学生活、その関連情報を記載していきます。

論文紹介13

久しぶりの論文紹介です。
 
今回は今年一発目にAcceptされた自分の論文です。
高齢者の検診データを見ていたときに、やっぱり一度房室ブロックが多いなって思っていたのですが、ほとんどの場合Throughされ、精査もされないのが現状だと思います。
ただ、最近のデータでは一度房室ブロックがその後の心臓血管イベントと関連が指摘されてきていましたが、日本からの報告は非常に限られていました。
そこで、金沢市すこやか検診のデータを使用して、Baselineの一度房室ブロック(Minnesota code使用)がその後の心房細動発症と関連しているかどうかを調べたのが今回の論文です。
今回の発見としては、
1、欧米と比較して、高齢者であっても一度房室ブロックのPrevalenceは1.8%と高くなかったこと。
2、中央値5年間観察した結果、Incident rateは一度房室ブロック群で6.8%、コントロールでは2.1%と有意差を認めたこと。
3、一度房室ブロックがあると、その後の心房細動発生がコントロールと比較して75%増加することが明らかとなりました。
Limitationとしては、Minnesota codeを使用しているため、この関連に用量依存性があるのかとか、Linearな関連なのかなどが調べきれていないこと、12誘導心電図でAFを診断してるので、間違いなくAFをUnderdetectionしている点でしょう。
今回の新たな学びとしては、
1、フォローアップできなかったことによる欠損から生じるSelection biasをInverse Probability Weightで調整する方法。
2、Weightにも色々あり、Propensity scoreの計算からStabilized weightの計算の仕方まで学べたこと。
です。自分一人ではよく理解できませんでしたが、ハーバードで疫学をされている濱谷先生から色々教えて頂く機会をもらえたのが自分の成長にも繋がりました。
最後に、ダウンロードはできませんが、中身まで読みたいという方は下記から本文を見ることができます。試してみてください。