じんたんのブログ

シカゴでの研究留学生活、その関連情報を記載していきます。

論文紹介15

今回紹介する論文はCardiovascular health (CVH)と新規心房細動発生を日本の一般住民で検討した研究です。

www.mdpi.com

本研究は、私が米国で心房細動の疫学研究を行なっている際に、Life Simple 7という修飾可能なCVH metricsを目にした際に思いつきました。

日本で臨床をしていた際には、心房細動のアブレーション等の二次予防に多くの医者が時間・労力を費やしていましたが、そもそも心房細動にならなければアブレーションをする必要性自体がなくなるわけで、アブレーションが嫌いだった私にとっては発症予防こそ重要な課題だった訳です。しかし、調べてみると、本邦ではCVHと心房細動の関連に関して詳細に検討されている研究がなく、Life Simple 7のような分かりやすい指標がないことも問題だと思いました。

そこで、金沢市住民健診データにLife Simple 7を本邦向けに改変したCVH scoreなるものを作り、それと新規心房細動の関連を調べました。

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CVH Scoreの抜粋

その結果、CVH scoreが高いほど(CVHがよくコントロールされている人ほど)、新規心房細動の発症が低いことが判明しました。さらに、その関連はその他の心血管危険因子で調整しても、75歳未満の人で有意でしたが、75歳以上では有意な関連を認めませんでした。

以上から、CVHが良好であることは、将来発症する心房細動が低下することと関連していることが判明しました。今後の研究で、CVHへ介入することで新規心房細動が低下するかどうか示されれば、本邦でも生活習慣を保つことの重要性により注目が集まることが期待されます。

 

本研究は、HealthDay News 2021年11月1日でピックアップされ、ケアネットやそのほかのオンラインニュースでも注目を集めています。是非是非読んでみてください。

dime.jp