じんたんのブログ

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論文紹介8

Effect of lead design and pacing vector on electrical parameters of quadripolar coronary sinus leads: The RALLY-X4 study

クアドロポーラー(4極電極)冠静脈リードの電気的パラーメーターに対する電極リードのデザイン及びペーシングベクターの影響に関して:TALLY-X4研究

Pacing Clin Electrophysiol.2019;42:1018-1025.

 

背景:

色々な種類のリードデザインが形の異なる冠静脈に適合するように開発されている。本研究の目的は、straight及びspiralの左室リードにおける電気的パラメーターを比較し、捕捉閾値や異なるペーシングベクターを用いることでのインピーダンスを評価し、時間経過に伴う閾値の変化を検討することである。

 

方法:

RALLY-X4研究はAcuity X4 family(Straight, spiral short, spiral long)リードを使用した患者を採用した。電気的パラーメーター(全17ベクターからの捕捉閾値を含む)を始めとフォローアップ時に測定した。

 

結果:

問題なくリードを移植できた795名の患者からのデータを解析した。StraigthとSpiralリードは電極遠位端(61-65%の患者)又は少なくとも近位電極(E2-E4)(81-83%の患者)の一つから閾値が2.5V/0.4msec未満になる部位に同様に挿入された。Unipolarベクターは優位に閾値インピーダンスがBipolarよりも低かった。又、UnipolarはBipolarの電極間隔を広くとっても同程度の閾値インピーダンスを得ることができた。捕捉閾値は近位電極に近づくにつれて全てのリードで上昇した。1年間のフォローアップ期間に、捕捉閾値の若干の低下が認められた。

 

結語:

StraightとSpiralの4極電極リードは臨床的に利用可能な捕捉閾値を少なくとも近位電極の一つから80%以上の患者で得ることができた。ペーシングベクターは電気的パラメーターに有意に影響を与えることが判明し、より近位の電極では閾値が上昇し、UnipolarやBipolarの電極間隔を広くとることで低い閾値が得られた。捕捉閾値は1年間のフォローアップ期間で若干低下を認めた。

 

コメント:

冠静脈の解剖学的な位置は人によって異なるため、リードの形状や刺激する電極の選択は重要である。本研究ではStraigtでもSpiralでも4極電極を使用することで、少なくとも臨床的に利用可能な捕捉閾値が得られることを示している。通常、Bipolarを使用することが多いが、閾値が悪くなった際には、Unipolarに変える、又Bipolarの電極間隔を広げるなどの日常診療で行われていることをデータ化しているという点では共感が持てる。しかし、あまり新規性はないように感じられる。