じんたんのブログ

シカゴでの研究留学生活、その関連情報を記載していきます。

めちゃ久しぶりに更新

最近やることが多くなって、更新できず。

ようやく時間もできたので、負担にならない程度に更新していこう!!

 

今日はJACCのこの論文を読んだのでUp

 

Stress-Associated Neurobiological Pathway Linking Socioeconomic Disparities to Cardiovascular Disease

ストレス関連の神経生物学的経路を介する社会・経済的格差と心血管疾患の関連について

J Am Coll Cardiol 2019;73(25):3243-55.

 

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S073510971935079X?via%3Dihub

 

背景:社会的・経済的地位(SES)が低いと主要心血管イベント(MACE)のリスクが上昇するが、そのメカニズムは十分に分かっていない。

 

目的:精神・社会的ストレスはSESが低い人に多く認められるため、本研究ではup-regulateされた炎症を含むストレス関連の神経生物学的経路が低いSESとMACEの関連の一部を担っているのではないかという仮説を検証した。

 

方法:臨床適応で全身18F-PET/CTを実施され、既知の心血管疾患や活動性の癌がないなどの試験参加基準を満たした509名の患者(年齢の中央値55歳(四分位範囲45 – 66歳))を検討した。採用時に造血能、血管の炎症、289名に関しては安静時の扁桃体代謝(ストレス関連の神経活動の測定)も18F-PET/CTを用いて定量化を行った。SESは近隣のSES

因子(収入の中央値や犯罪率など)によって評価した。MACEは18F-PET/CT撮影5年以内のイベントを収集した。

 

結果:中央値4.0年の観察期間中に40名にMACEを認めた。採用時の収入は扁桃体の活動性、(標準化β:-0.157[95%CI: -0.266 to -0.041]; p = 0.007)、および動脈の炎症(β:-0.10[95%CI: -0.18 to -0.14]; p = 0.022)と逆相関を認めた。更に、複数の因子で調整後でも収入はその後のMACEと関連を認めていた(標準化β:0.67 [95%CI: 0.47 to 0.96]; p = 0.029)。媒介分析では近隣の収入低下→扁桃体活動性上昇→骨髄活動性上昇→動脈炎症上昇→MACE増加という経路が有意であった(β:-0.01[95%CI: -0.06 to -0.001]; p < 0.05)。

 

結論:SESの低下は1)扁桃体の活動性上昇と関連2) 扁桃体の活動性上昇、骨髄の活動性上昇、動脈の炎症増加などのいくつかの経路を介して独立してMACEを予測した。これらの所見により、ストレス関連の神経生物学的メカニズムによりSES格差は健康に悪影響を及ぼすことが示唆された。

 

日本よりも米国の方が格差社会であり、経済社会的な格差から食事・運動などの生活に大きな影響がで、それが長期に渡ると心血管疾患につながると言うことは言われていた。ただ、どのような因子が媒介しているのかに関しては詳細に検討されておらず、本研究の全身PET-CTを用いた解析は非常に斬新であった。