じんたんのブログ

シカゴでの研究留学生活、その関連情報を記載していきます。

第76回富士登山競走

3月に板橋シティーラソンでサブ3を達成し、次なる目標はと考えた末に挑むことにしたのが、富士登山競走」です。

ランナーの間ではグランドスラムというものが存在し、

  • フルマラソンで3時間切り(サブ3)
  • 100kmマラソンで10時間切り(サブ10)
  • 富士登山競走山頂コース4時間半以内に完走(サブ4.5)

の三つを達成することで得られる称号になります。今後もフルマラソンは継続して行っていこうと思いますが、サブエガ(2時間50分切り)はかなり時間がかかりそうなので、練習は続けつつ、次なる目標に設定したのが富士登山競走」になります。

fujimountainrace.city.fujiyoshida.yamanashi.jp

 

1、富士登山競走とは

 これに関してはすでに色々な情報が出回っているので、ごく簡単にしか書きませんが、富士吉田市役所前(標高770m)から富士山山頂(距離21km、標高差3000m)を目指して駆け上がる過酷なレースになります。しかも、厳しいのが制限時間で、山頂まで4時間半以内に登り切らないといけません。完走率は非常に低く、例年50%前後と言われています。

 また、いきなり山頂コースに出場できる訳ではなく、富士吉田市役所から5合目の佐藤小屋までの5合目コースで2時間20分以内に完走しなければ、山頂コースの出場権がもらえません。

つまり、山頂コースに出場するには、最低でも2年かかるということになります。ただ2時間20分を切れば良いという訳ではなく、できるだけ早いタイムでゴールするのが理想的です。その理由は、山頂コースの出走順が5合目のタイムにより決定されるからです。スタート位置が後ろになればなるほど、スタート時や馬返し以降の渋滞がひどくなり、足切りに引っかかる可能性も上がります。一般的に、5合目コースを2時間7分程度で通過しない限り、山頂に制限時間内にたどり着くことは難しいと言われています。さらに5合目の足切りは2時間15分のため、2時間20分付近でゴールされている方は、5合目以降を走ることはできません。

 さらに、もう一つ大きな問題があります。5合目コースへのエントリーです。富士登山競走は定員が5合目コースは1500名前後であることから、非常に狭き門です。その結果、エントリー開始日に行われるクリック合戦に勝利しないと出場できません。日本一激しいクリック合戦とも言われているようで、開始10分もすると出場枠は全て埋まってしまうほどです。エントリー開始時間と同時にクリックし、あとはひたすら繋がるのを祈るしかありません。私は運良く、一回で5合目出場権を獲得することができました!!

 

2、レース前日

 以前はそうではなかったようですが、今年はレースの受付が前日であったため、近場に住まれている人以外は1泊する必要がありました。富士吉田市自体にあるホテルの数は多くないため、すぐにホテルが埋まってしまいます。出場が決まると同時にホテルを抑えるぐらいではないと近場のホテルは予約できないと思ってください。私は、友人8名と一緒にコテージを借りて、そこでワイワイ前日を過ごしました。受付も前日の夕方は車で会場付近はごった返すので、可能なら歩いて行ったほうが良いかもしれません。

 

3、レース当日(スタートまで)

 山頂コースは朝7時スタート、5合目コースは朝9時スタートとなります。

 8時30分から市役所前の道路が閉鎖され、ランナーが整列します。したがって、少なくとも8時前には会場入りしておくことをお勧めします。今年を見る限り、8時を過ぎるとトイレが非常に混み始め、長蛇の列が形成されていました。

 あと、今年は特にだと思いますが、スタート時点で28度という気温であり、8時半に整列した時点でそれから40−50分は飲水が取れないことになります(浅間神社の給水所まで)。したがって、暑ければペットボトルか何かに飲み物を入れて持参することをお勧めします。私は、整列前に結構飲んだのですが、スタートまでに結構汗をかいてしまい、走り始めの時点ですでに口が乾いていました。整列する道路沿いにゴミ箱があるので、そこで捨てても良いですし、浅間神社まで行ってそこで捨ててもどちらでも良いと思います。

 次に大切なことは、できるだけ前からスタートするという点です。今年からスタートがゼッケンの番号によって、5つに分けられました。それぞれの列に単純計算で300人ほどいるわけで、遅く整列するとその分後ろになってしまいます。2回目以降5合目コースに出走される方は、前年のタイムによって前のグループからのスタートとなりますが(恐らく1番前、2番目)、初年度の方は多くの方が一番後ろか後ろから2番目のグループからスタートになります。市役所前の通りが非常に狭いため、最初の500mはほとんど抜けないと思ってください。

 

4、レース当日(スタートからゴールまで)

 私は幸い前から3番目のグループの一番前からスタートしましたが、それでもスタートまでに30秒弱、その後もなかなか抜くことができませんでした。

 整列した市役所前の通りを500mほど走ったら、左折しますが、平坦な道はこの500mだけだと思ってください。あとはずっと上りです。左折すると、正面に富士山の姿を目にすることができますが、衝撃的なのは、ずっと結構な坂がすでに続いているということです。

 浅間神社までの2.8kmは坂も意外とキツく、混雑していることもあり、あまり飛ばしすぎない方が良いと思います。私は抜きたい衝動に駆られてしまい、最初の1kmを4:08で入ってしまい、その後は1km4:40ぐらいのペースで走りました。結構な数の人を抜くことはできたのですが、浅間神社に着いた時点ですでにバテバテの状態でした。気温が高かったこと、やはり高度が高いことで一気に消耗したのだと思います。

 浅間神社から1−2kmは坂もさほどキツくないこと、木陰に入ることからある程度気持ちよく走ることはできますが、その後坂は徐々にキツくなり、約7km地点の中の茶屋では平均斜度は7%ぐらいになっています。本来であれば、馬返しまでは走り、馬返し以降は歩くと決めていたのですが、あまりに息が上がるため、馬返し2km手前から歩いたり走ったりを繰り返すようになりました。

 やっとの思い出馬返しの到着し、時間は1時間1分36秒でした。目標としていた60分切りは達成できませんでした。馬返しからは渋滞が発生し、スピードを上げようにもなかなか上げられません。ただ、今回に関してはそれが功を奏して、2合目ぐらいまでで呼吸も足もだいぶ回復し、3合目以降は坂でも急でなければ走れるまでになってきました。平坦な部分も一部あるため、そこで他のランナーを抜き、ラストスパート。

 5合目コース1時間57分3秒(総合順位169/1338)で無事ゴールすることができました。今までのレースの中で一番きつかったと言っても過言ではありません。周囲の友人達からは1時間50分切りできる走力はあると言われていただけに、自分にがっかりしてしまいました。ただ、試走も一度もせず臨んだので、よくやった方かなと思います。山頂コースの出場権が得られたので、来年は山頂かと思うと、気が重くなりますが、今度は準備期間が十分あるため、ゆっくり山仕様に足を作り替えて挑もうと思います。

 

5、練習に関して

 クリック合戦に勝ってから、約4ヶ月間は練習に坂道走を多く取り入れるようにしました。レース直前の2ヶ月は月間獲得標高は6000mを超え、月間走行距離も300kmを超えていました。

 ただ問題となるのは11kmも連続して登り続けるような坂があまりないということです。私の住んでいる地域には700mぐらいの距離の坂はあってもそれ以上はありません。したがって、登ったら下らないと登れないというジレンマに陥ります。やはり連続して登り続ける脚力・心肺機能が必要となるので、私は7月に2回ほどヤビツ峠を走りに行きました。距離は11kmちょっとで獲得標高700mぐらいあるので、富士吉田市役所から馬返しまでの練習にぴったりです。ただ、一つ忘れてたのは、ベースの標高が違うため、ヤビツ峠で走れたからといって富士登山競走で走れるとは限らないということです。ヤビツ峠を走るのであれば、レースペースよりも早いペースで走るとか、途中まで下って再度登るとか、負荷を上げたトレーニングをしないといけないと思います。または、ヤビツ峠から大山までがちょうど馬返しから5合目までのトレイルの練習にもなるので、大山までしっかり登るとかしたほうが良いです。私は、ヤビツ峠を走り切ったということだけで満足してしまっており、そこが今回目標タイムに及ばなかった敗因だと思います。

 あと、馬返し以降は階段が疲れ切った足に追い打ちをかけてきます。したがって、普段の練習から階段を30分程登り続ける練習をしたり、段差の多い階段を想定して登ったりと、ただ走る以外の部分も総合的に鍛えると良いと思いました。